10.19
「カビに強い家」停電して留守の四カ月間、家の中はカラカラ、カビは出ませんでした。空気が流れていたんですね。
こんにちは。市川です。
パッシブエアサイクル住宅(PAC住宅)は、床下や壁の中、天井裏や小屋裏の空気がいつも流れています。目的は家の中の温度や湿度の調整ですが、空気を流すために電気は使いません。ダクトやファンもありません。
利用しているのは太陽熱と風の力。そして「暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ」の原理。ですから万一の停電の時も、床下や壁の中の空気は流れます。
また、室内側には風の引き抜きの力を利用した自然換気口が使われています。
今回は、この空気の流れを実感したというYさんのお話をご紹介したいと思います。
福島県南相馬市に住んでいたYさんは、2005年にパッシブエアサイクル(PAC)住宅を建築しました。
ところが2011年3月、東日本大震災による福島第一原発事故で避難指示。ご家族は最小限の荷物を車に積んで親戚のいる千葉に避難されました。
避難して4か月後の2011年7月、一時帰宅で震災後初めて南相馬の家に戻った時の様子を話してくださいました。
家はしっかり建ってました
家の被害は木の梁に少しひびが入ったくらい。家を建てる時、地盤改良で杭をたくさん打ったので家はしっかりしていたのですが、家の周りの地盤がガクンと沈んでしまって家の周りに土を盛りました。
カビが出てませんでした
ウチの周りは家中がカビだらけになってしまってすごく大変だった家が多かったけれど、ウチはカラカラ、乾燥していたくらいです。PACの換気口は閉めたまま避難しました。床下とか壁の中の空気が回っていたんですね。それを実感しました。でも冷蔵庫だけは大変で・・酷い臭いですぐに外に運び出しました。
今、私たちに必要なのは自然に抗う術ではなく、自然を敬い、自然と共にある暮らしの在り方を考えることではないでしょうか。
代表 市川小奈枝