03.11
家づくり、清く豊かに美しく
家動機が不純では、同じ目的をめざしていても自ずと結果は違ってきます。
現代社会では、家づくりは大きな経済活動です。それは、個人の立場においても住宅会社や関連のメーカー、職人においても同様です。
二○世紀後半の大失敗。それは、経済活動をすべての中心に置き過ぎたことです。そして、さらに失敗を重ねたことは、経済活動の目的をストレートに金儲け、と単純化し、信じて行動してしまったことです。その結果、地球全体の汚染、多くの生命種の絶滅、子どもたちの身体とこころに現われた異変、物は満たされても、こころの飢餓状態は増す一方……と際限のないくらい多くのマイナスを呼び込んでしまいました。
世界中が大きな転換に迫られています。それは、偉大な哲学者や科学者、宗教家や政治家だけの仕事ではありません。根底からの大変換は、私たち一人ひとりの毎日の生活からしか起こり得ません。生き方を見つめ直し、できるところから生活を変えていく、その連続の末、大きな変化が定着します。
20世紀を振り返れば、私たちの多くが、物やお金にこころを奪われていたことは否めません。私たちは例外なく20世紀後半のマイナス現象を引き起こした共犯者の一人なのです。
その地獄絵的状況からの脱出。そのキーワードが、「清く豊かに美しく」です。
私たちの多くは、哲学者や科学者、宗教家や政治家ではありません。いわゆる一庶民。その一庶民でも、毎日の生活を送っています。その毎日の生活を少しだけ変えることは誰にでも実行できることです。生活の根底にある考え方を少しだけ方向転換しましょう。
生活のものさしに「清く豊かに美しく」を採り入れてみたらどうでしょうか。
私たちの場合で言えば、家づくりを仕事にしています。その家をつくるという経済活動の原則を、「清く豊かに美しく」に置きました。その結果、経済活動にともないがちな本音と建前、裏と表の必要性はなくなります。正直をベースに矛盾のない状態がつくれます。
仕事でも、自分のこころを偽る必要はありません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もしこの仕事が20世紀後半の金儲け哲学に基づいて実施されるとすれば、・・・・・・・・・・・・・・・・・・