06.10
住まいの湿気が引き起こす、さまざまな問題点
夏型から冬型へと変わった現代の住まいは、風通しを忘れてしまった湿気に弱い住まい
日本の気候風土を一言で表現するなら、高温多湿。
古く日本の住まいが風通しの良い開放的な木造住宅だったのも、夏の蒸し暑さに代表される湿気への配慮を、まず第一に考えたからに他なりません。
というのも、住まいにおける湿気は土台や柱などを腐らせ、住まいの寿命を縮める大敵であり、その対策として風通しがなによりも効果的だったからなのです。
しかし、現代の住まいのほとんどは冬を暖かく過ごすことを優先させた、言わば風通しを無視した気密性・断熱性を高めた住まい。
ほんの一例をあげても、基礎は風が通り抜ける束石工法から鉄筋コンクリートの布基礎へ、壁は呼吸する土壁や板壁からサイディングやモルタルへ。
また、室内の壁は柱や梁が露出していた真壁からビニールクロスなどで覆う大壁へ、間取りも風通しの良かった田の字型から中廊下で分断される何LDKへと大きく変わりました。
これでは風通しの良さは望むべくもなく、現代の住まいは湿気に対してすべてマイナス方向にあると言えるでしょう。さらには、夫婦共働きによる住まいの空家化、核家族化による部屋の無人化なども、そのマイナス方向への動きを後押ししているようです。
湿気はカビを発生させ、ダニを繁殖させる。住む人の健康のためにも湿気は要注意です。
湿気は、住まいそのものに悪影響を与えるばかりでなく、そこに住む人の健康にも大きくかかわっています。
近頃、さまざまな原因によるアレルギー疾患が話題となっていますが、その一つに住まいの湿気から発生するカビ、そのカビを栄養源に繁殖するダニがあげられています。
一般的に、湿気によるカビやダニは住まいの冷たい場所で発生します。
例えば、水まわりの洗面所やそこに隣接した脱衣所、陽射しの差し込まない北側の部屋、中廊下の奥まった部分、そして押入などはその最たる場所と言えるでしょう。
万一、押入でカビが発生しダニが繁殖したとすれば、当然ながらそこにしまってある布団などにもダニがつくことになり、アレルギー疾患に悩んでいる人にとっては事態はますます深刻です。
こうした住まいの冷たい場所に加え、設備機器の中にもカビやダニの巣窟とも言えるものがあります。
夏のクーラーがそれです。涼しい風とともに、じつはアレルギー疾患の原因であるカビやダニも一緒に放出されていた。
快適さの象徴とも言われているクーラーが、住む人の健康を損ねる象徴でもあったわけで、考えてみれば恐ろしい話です。
住まいで発生する2種類の結露のうち、廃部結露は住まいの寿命を縮める元凶です。
結露とは、空気中の湿気が温度の低下により水滴となる現象です。
ほんの10年ほど前には結露という言葉自体が馴染みのないものでしたが、今ではほとんどの方に理解されるまでになりました。
このことは、住まいにおける結露が最近の出来事であるということを物語っています。
一般に住まいで発生する結露には、窓ガラスなどの目に見えるところに水滴が付着する表面結露と、壁の内部や床下などの目に見えないところで水蒸気が水滴となる内部結露の2つがあります。
表面結露の場合には拭き取るなどの方法で対処が可能ですが、内部結露の場合はその発生の有無の判断も容易ではなく、気づいたときには土台や柱が腐っていたなど、手遅れになるケースがほとんどです。
また、かりに事前に気づいたとしても、住まいが建ってしまった後では的確な対策がないのが実状です。
設計以前の段階から、内部結露を防ぐエ 法や断熱材の種類などを十分に検討すること。この心がまえこそが、住まいの長寿命化を実現するなによりも大切な要素なのです。
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