12.07
無風状態はたまらない
住まいの肝 流れる空気 シリーズ その1
無風状態はたまらない
空気が流れている、それはあらゆる場面で大切なことだろう。私は40年ほど流れる空気の家であるパッシブエアサイクル住宅(PAC住宅)を手掛けてきたが、最近でも、流れる空気の大切さをより深くしみじみと感じさせられている。時間の経過とともにその価値が薄れるという事はなかったし、これからも益々、流れる空気の価値は、家づくり、住まいにおいて高まるものと感じている。
流れる空気の逆の状態は、動かない空気すなわち無風状態だ。無風状態でいいことはあまりないだろう。社会や人間関係で無風と言えば、変化のない停滞状態、進歩がなく留まっている、平穏無事といえば聞こえはいいが退屈極まりない様子を連想させる。
よどんでいる空気も無風だ。よどんだ空気は汚れた空気、場合によっては、細菌が蔓延している連想もともなう。
人間関係でいえば、なれあい、無責任、良からぬ関係などろくなイメージが浮かばない。
何事もよどんではいけないのだろう。
PAC住宅は、日本での健康住宅のはしりと自負しているが、そのポイントは「流れる空気」だ。
PAC住宅の追求する健康は、住む人とそして建物そのものの健康の両立だ。そのどちらの健康も「流れる空気」をベースに実現できるものだ。
人間の健康は、こころの健康と身体の健康の両立で支えられているが、そのどちらの健康も、「流れること」で保たれている。
こころが動かない停滞している状態は、極めて危険な状況だろうし、身体も同様に血液の流れやリンパの流れなど見えない所の流れで保持されている。それを支えるのが呼吸であろうが、呼吸には新鮮な空気が必要だ。「流れる空気」は新鮮な空気のベースとなるものだ。
建物の健康も二つ。腐りにくい、すなわち耐久性が高い事。何十年たっても便利に使える、すなわち耐用性が高い事。
どちらも「流れる空気」と関連している。健康性の高い住宅は、木の家だが、その木造住宅の木の部分、例えば、土台、柱、梁などの構造材は床下や壁の中そして小屋空間など見えない空間に存在しているが、これらの木材の寿命は「流れる空気」にかかっている。常に流れる空気に触れている木材は天寿を全うする。
同様に内部に使用される床や壁、天井なども本物の木であれば大いに健康に寄与するが、間取りが広がっていて室内にも「流れる空気」が絶えなければ、そうした木材の寿命を大いに伸ばし、住む人の健康にも寄与する。
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