12.20
犯しがちな間取りの失敗
失敗OFFの家づくり シリーズその2
犯しがちな間取りの失敗
間取りは、真剣に取り組むととても難しい。いくつかの要素が考えられるが、一つは、時間の経過とともに求められる要素が変化していくという事があげられる。例えば、同居する家族の人数の変化であろう。
また、時間を限定して現時点で最もふさわしい間取りと言っても、求める観点が相反する事がある。例えば、プライバシーを重視したいが、家族のコミュニケーションも豊かにしたいなど。
さらには家族によって、例えば親と子、あるいは妻と夫で、間取りに求める内容が正反対という事も少なくはない。
そして日本人には「間取りは何LDK」という強烈な刷り込みがある。おそらく、この刷り込みが最も無意識に犯す間取りの失敗につながっていると思える。
例えば、夫婦と子供三人とすると、夫婦の寝室と子供部屋三つと考え、4LDKの間取りを疑問なくつくってしまう事が今でも一般的かもしれない。
仮に4LDKのプランで家を建てたとしよう。
ここからもう間取りの失敗の連鎖が始まっていることにお気づきだろうか。
家を建てた時点で、子供が小学生、中学生、高校生だとしよう。それから10年経過すれば、高校生は社会人に、中学生もほとんどの場合社会人になっているだろう。小学生は高校か大学か社会人かといったところ。
10年経過しなくても5年程度でも子供は進学で家を離れているかもしれないし、社会人になれば尚更、家にはいない可能性が高いだろう。
そうなれば巣立った後の子供部屋は、もぬけの殻、思い出の部屋、使われないままの空間になってしまう状態になるだろう。もちろん、子供の誰かが結婚して同居ということになっても、個室三つの空間では二世帯にはなりにくい。
希望に燃えて間取りを検討している時期に戻ってみよう。思春期の子供たちはやはり個室を欲しがる。親は顔が見えやすいコミュニケーションの取りやすいオープンな間取りを望むことが多い。この両立は、何LDKのプランでは実現できないだろう。そこに矛盾した悩みを抱えることになる。
夫婦は同室という常識論からか、夫婦の寝室は当然一つになる。しかし夫婦別室の方が何かとうまくいくケースも多い。
何LDKは、何も考えないで間取りを決めることのできる、そうした意味では素晴らしい技術だが、目覚めたとき、気づいてみたら後悔ということになりがちだ。
完璧な間取りはもともと不可能であろうが、間取りでの失敗の大多数は、真剣に考えないで何LDKにしてしまう、いわば自動間取り術によることが一番なのだろう。