02.11
住いと健康の関わり
健康住宅とは何か シリーズその1
住いと健康の関わり
1982年に「健康住宅宣言」をした。新聞の一面広告を使って打ち出し多くの反響を得た記憶がよみがえった。当時、健康は食事とか運動、医療のテーマと考える傾向が強く、住宅と健康を結び付けて考える、そんな思考性はなかった様に思う。
私の頼りない記憶では、住宅と健康の関連性を真剣に考えさせるきっかけは、アトピー性皮膚炎の原因がハウスダストにあるという新聞記事だった。
子供の3人に1人、2人に1人だったか、その位多くの子供がアトピー性皮膚炎である、その原因は従来食べ物と考えられていたが、ハウスダストが本当の原因であることが判明した、そのような記事だったと記憶している。
ハウスダストという言葉も当時は耳新しい感じで、家の中のホコリその中に潜むカビやダニ、ダニの糞や死骸の入り混じった物で、それはカーテンや絨毯そして畳に付着しているとの内容であった。
カーテンや絨毯、畳などは毎日掃除を念入りにするというのはなかなか大変なこともあって、以降、住宅の中からカーテンや絨毯、畳が少なくなっていき、フローリング等の建材やブラインドが主流になっていく、そんな時代の変わり目であった。同時に畳や絨毯などはケミカルによる防虫対策が施されてきた。
その後、アトピー性皮膚炎が減ったという情報は目にしていないが、皮肉な事にやがて、化学物質過敏症が住宅との関りで増えてきているとの記事が増えていった。
防虫対策の化学物質にあいまってフローリングなどの新建材に使われる接着剤その主成分であるホルムアルデヒドが主原因と言われ、その後の規制につながっていく。
その結果今では、F☆☆☆☆(フォースター)建材が一般的になった。いわゆる接着剤のホルムアルデヒドの濃度を低くしたという単純な対策に過ぎないのだが。
住いと健康という問題を本質的に考えることなく、安易に目先で小手先の対策をしただけのことで、以降、F☆☆☆☆(フォースター)建材を使用しているから健康住宅ですとの宣伝文句が多くなってしまった。お粗末としか言いようがない。
柱や土台、梁などの構造材も無垢ではなく集成材になり、こうした材料もF☆☆☆☆(フォースター)建材になり下がった現在の住宅業界では多くの期待はできないのだろうが。
人間の健康も、食べ物や運動、心の在り方、人間関係、存在する環境など様々な要因に関連している。住宅は人の住まう環境の一つであるが、その環境を健康にするためにも多種多様な要素を検討していかなければならないことは容易に想像のつくことであろう。
前述したF☆☆☆☆(フォースター)建材などは、住宅に使用する材料という一要素にしか過ぎない。その一要素である材料を無垢材などより安全で健康なものに変えることは必要だが、それと合わせて、数多くの対策や考えるべき要素がある。そうした話をしていこう。
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